原価ノート › ガイド
「材料費を足して、2〜3倍の値段を付ける」——手作りお菓子の値付けで いちばんよく聞くやり方ですが、この計算は現実より安く出ます。 材料費に乗ってこない費用が4つ(歩留まり・製造ロス・人件費・販売手数料)あるからです。 型抜きクッキー30枚を委託販売する例で、最後まで数字を出してみます。
① 歩留まり。卵は殻を捨てます。10個¥320の卵でも、使える部分だけで 数え直すと1個あたりの実質は上がります。バナナ・柑橘・かぼちゃなど、 捨てる部分がある材料はすべて同じです。
② 製造ロス。割れたクッキー、型抜きの端、天板の焦げ。 売れない分の材料費は、売れた分が背負います。
③ 人件費。自分の時間をゼロ円で数えると、「作れば作るほど 時給が下がる」ことに気づけません。最低賃金でよいので必ず入れます。
④ 販売手数料。委託販売やハンドメイドマーケットの手数料は 売価に比例します。原価に足し算では入れられず、 売価の逆算のしかた自体が変わります(後述)。
前提はこうです。作業は計量から袋詰めまで90分、時給は ¥1,100で数えます。割れ・端切れの製造ロスを 5%、包装(OPP袋+シール)を 1枚¥12、委託先の販売手数料を 30%とします。
| 材料 | 購入価格 | 使う量 | この分の費用 | |
|---|---|---|---|---|
| バター(食塩不使用) | ¥480 / 150g | 150g | ¥480.0 | |
| 薄力粉 | ¥320 / 1000g | 200g | ¥64.0 | |
| グラニュー糖 | ¥280 / 1000g | 90g | ¥25.2 | |
| 卵 | ¥320 / 10個 | 1個 | ¥37.6 | 歩留85%(殻を除く) |
| アーモンドプードル | ¥600 / 200g | 50g | ¥150.0 | |
| 材料費(バッチ計) | ¥796.7 | ロス5%込み |
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30枚で割ると、材料費は1枚あたり¥26.6。 1枚¥180で売るなら、材料費だけの原価率は 14.8%です。 ——ここで計算をやめると「よく売れて、儲かっているはずなのにお金が残らない」が始まります。
| 費目 | 1枚あたり | どこから来るか |
|---|---|---|
| 材料費 | ¥26.6 | 歩留・製造ロス込み |
| 人件費 | ¥55.0 | 90分 × 時給¥1,100 ÷ 30枚 |
| 包装費 | ¥12.0 | OPP袋+シール |
| 販売手数料 | ¥54.0 | 売価¥180の30% |
| 合計 | ¥147.6 | 売価¥180に対して原価率82.0% |
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1枚¥180のクッキーの原価は、材料費だけ見れば ¥26.6(14.8%)。 全部入れると¥147.6(原価率82.0%)。 手元に残るのは1枚あたり¥32.4です。
原価率50%を守りたいとします。手数料は売価に比例して増えるので、 「原価の2倍」では計算が合いません。売価 = (材料+人件費+包装)÷(目標原価率 − 手数料率) で逆算します。同じレシピでも:
| 売り方 | 手数料 | 原価率50%を守る売価 |
|---|---|---|
| 直販(マルシェ・イベント) | 0% | ¥190 |
| 委託販売 | 30% | ¥470 |
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同じクッキーでも、直販なら¥190、手数料30%の委託なら ¥470。委託の手数料は「売価の30%」なので、 売価を上げるほど手数料も増え、逆算の分母(50% − 30% = 20%)が小さくなるためです。 委託で売るものと直販で売るものの値段が同じでよいはずがない——これが 材料費だけの計算では絶対に見えない結論です。
同じ計算を、材料と出来高を入れるだけでできる 無料の原価計算ツール(ブラウザで動きます)を 置いています。登録不要で、入力した内容はどこにも送信されません。
iOS アプリ「原価ノート」は、レシピを1回入力すると 原価・原価率・売価と、そのまま印刷できる食品表示ラベル(原材料名・栄養成分)が 同時に出ます。材料の値段を変えると、その材料を使う全レシピが自動で再計算されます。 買い切りで、サブスクはありません。
材料の購入価格・時給・手数料率は例です。実際の値付けはご自身の仕入れ値と
販売条件で計算してください。計算式(歩留まり・製造ロス・人件費・包装費・販売手数料の
扱い)はアプリ「原価ノート」の計算エンジンそのもので、数値は
make-genka-example.mjs がエンジンを実行して生成しています。